下端が厚くなる「液だまり(エッジ効果)」を防ぐ!ディップコーティングの引き上げのコツ

ディップコーティング(浸漬塗布)の現場で、多くの技術者を悩ませるのがワーク下端の「液だまり(エッジ効果)」です。重力と表面張力によって下部だけが厚くなる現象は、一定速度でのディップコートでは完全に防ぐことが困難でした。

本記事では、液だまりが発生するメカニズムと、引き上げ速度を自在に変速できる最新のディップコーターを用いた解決策を解説します。

1. 多くの技術者を悩ませるディップコートの「液だまり」

膜厚の不均一がもたらす品質低下

ディップコーティングの現場で、もっとも発生しやすいトラブルの一つが「液だまり(エッジ効果)」です。ワーク(基材)を引き上げた際、どうしても最下部に余分な液が溜まってしまい、そこだけ膜が厚くなってしまう現象です。 

膜が厚くなった部分は、乾燥させる時に割れ(クラック)が入ったり、中までしっかり固まらなかったり(硬化不良)します。外観が損なわれるだけでなく、製品の品質そのものを大きく落とす原因になります。

2. なぜ「一定の速度」のディップコーターでは防げないのか?

表面張力と重力が引き起こすメカニズム

一般的なディップコーターは、最初から最後まで同じ速度でワークを引き上げます。しかし、これでは液だまりを防ぐことはできません。 

原因は、ワークが液面から離れる「最後の瞬間」にあります。ワークが液から抜けるとき、液の「表面張力」によって、ワークの端に液が引っ張られてしまいます。この引っ張られた液が、重力によって最下部に集まることで、厚い液のビード(塊)ができてしまうのです。

昔ながらの対策とその限界

これまでの現場では、以下のような手作業での対策がよく取られていました。

  • タッチオフ(液切り):
    引き上げた直後、ワークの角を液面や吸取り紙に少しだけ触れさせて液を吸い取る。
  • 傾斜引き上げ:
    ワークを斜めに傾けて引き上げ、液を一点に集めて落とす。

しかし、これらの方法には大きな欠陥があります。それは「作業者によって結果が変わる(再現性がない)」ということです。特にナノレベルの精密な成膜や、枚数の多い量産ラインでは、手作業に頼るわけにはいきません。

3. 【解決策】「リニア引き上げ(変速制御)」による自動化

速度を変化させて液をタンクへ戻す

この問題を機械的に、かつ自動で解決するスマートな方法が、引き上げ速度を途中で変化させる「リニア引き上げ」です。

ワークが液面から離れる「最後の瞬間」だけ、引き上げ速度を精密に加速、または減速させます。速度を変化させることで、液の表面張力をコントロールし、余分な液をタンク側へスッと戻す(液切りする)ことが可能になります。

SDIの「リニアディップコーター」で自動化する

当社の「リニアディップコーター」は、引き上げ中に速度を変えるポイントや、変化の度合いを自由に設定できるプログラム運転機能を搭載しています。

平板のワークはもちろん、凹凸のある複雑な形状や、筒状のパーツでも、それぞれの形に合わせた最適な「変速プログラム」を組むことができます。これにより、手作業では不可能な「誰がやっても下端まで均一な膜厚」を高精度に再現できます。特に、厚膜になりやすい高粘度液を扱う場合や、高い寸法精度が求められる電子部品のコーティングにおいて、この変速制御は歩留まりを上げるための非常に強力な一手になります。

▼ 変速引き上げに特化!リニアディップコーター(LD1304S2)の詳細 https://www.sdicompany.com/dipcoater/ld1304s2.php