スマートフォンのカメラレンズやガラスプリズムへの傷防止(ハードコート)。平らなガラス板とは異なり、曲率や鋭角を持つ光学部品を一定速度で引き上げると、「上が薄く、下が分厚い」膜厚ムラや液だまりが必ず発生します。 本記事では、重力と表面張力によるムラの原因と、曲面に合わせて速度を調整する「リニア制御(変速引き上げ)」による解決策を提示します。
1. 平板と「曲面」で膜厚が変わる理由
刻々と変わる引き上げ角度と重力の影響
丸みを帯びたレンズを引き上げている最中を想像してください。液面に対するレンズの「角度(傾斜)」は、引き上げるにつれて常に変化しています。
角度が急な垂直に近い面では、液がすばやく下に落ちます。一方、角度が緩やかな平坦に近い面では、液が留まりやすくなります。そのため、最初から最後まで同じスピードで引き上げてしまうと、重力の影響を不均一に受けてしまい、場所によって膜の厚さがバラバラになってしまいます。
2. プリズムやレンズ下端に集まる液だまり
表面張力が引き起こす光の歪み
さらに、プリズムの鋭い角や、レンズの一番下の端には、表面張力によって液が強く引き寄せられます。 光学部品の端に分厚い液だまり(エッジ効果)ができると、そこで光が大きく歪んでしまいます。光学機器としての性能を満たせず、製品の歩留まりを下げる大きな要因となります。
3. 【解決策】形状に合わせて速度を変える「リニア引き上げ」
無段階の速度プロファイルで均一なハードコートを実現
曲面や立体物を均一にコーティングするための唯一の解決策は、「レンズのカーブに合わせて引き上げ速度を変えること」です。
液が垂れやすい角度のときは速く引き上げ、液が溜まりやすい部分(下端など)に差し掛かったら速度をスッと落として液を切る。SDIの「リニアディップコーター」は、このような無段階の速度コントロール(プログラム運転)を可能にします。 ワークの形状に合わせて引き上げ速度のプロファイルを組むことで、重力と表面張力の影響を相殺し、どんな複雑な光学部品でも端から端まで均一なハードコートを施すことができます。
▼ 形状に合わせて速度を変える!リニアディップコーター(LD1304S2)の詳細 https://www.sdicompany.com/dipcoater/ld1304s2.php
