血管内を進む医療用カテーテルやガイドワイヤーにおいて、患者の負担や組織へのダメージを減らす「滑りやすさ(潤滑性)」の確保は極めて重要です。このような細くて長い長尺物に、親水性ポリマーなどのコーティングを均一に施すには、特有の技術的ハードルが存在します。 本記事では、医療用長尺物へのコーティングにおける課題(揺れ・液だまり)と、高品質に仕上げるためのディップコーティングのプロセス制御について詳しく解説します。
1. なぜカテーテルにディップコーティングが最適なのか?
長尺物の表面を隙間なく覆い、材料ロスを防ぐ
カテーテルやガイドワイヤーは非常に細長く、断面が円形をしています。スプレーコートなど他の手法では、裏側に液が回り込まずに塗りムラができたり、膜厚が不均一になったりしやすい欠点があります。
一方、ディップコーティングはワークを液の中に完全に沈める(浸漬する)ため、円筒形の表面すべてに隙間なく液を行き渡らせることができます。また、高価な医療用薬液の無駄(材料ロス)が非常に少ない点も、量産プロセスにおいて大きなメリットとなります。
2. 長尺物特有の技術的課題:「揺れ」と「液だまり」
ワークの「揺れ」による縞模様(チャタリング)
カテーテルのような長いワークを引き上げる際、わずかな風や装置の振動を拾い、振り子のように横揺れを起こしやすくなります。この揺れが液面を乱し、表面に等間隔の横縞(チャタリング)を作ってしまいます。
下端に生じる「液だまり(エッジ効果)」
引き上げが終わり、ワークが液面を離れる瞬間に強い表面張力が働きます。細いカテーテルの先端(下端)に余分な液が引っ張られて溜まり、乾燥後にその部分だけ膜が厚くなって割れや剥がれの原因になります。
3. 【解決策】高品質な医療用コーティングを実現する装置制御
振動を極限まで抑えた引き上げと変速制御
ワークの横揺れやパルス振動を防ぐため、非常にスムーズで剛性の高い駆動機構が必要です。SDIのディップコーターは、長尺物であっても液面を揺らすことなく、完璧に安定した直線運動を維持します。
さらに、先端の液だまりを防ぐには、ワークが液面を抜ける最後の瞬間だけ速度を精密に変化させる「リニア引き上げ(変速制御)」が有効です。速度を変えることで表面張力をコントロールし、余分な液をスムーズにタンクへ戻すことができます。
まとめ
医療機器のスケールアップをサポート
医療機器のコーティングは患者の安全に直結するため、非常に高い再現性と寸法精度が求められます。SDIでは、長尺物に対応した特注装置の設計から、クリーン環境下での受託コーティングまで対応可能です。
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