重ね塗りの失敗を防ぐ!下地を溶かさないディップコーティングのコツ

2層目を塗ると、1層目が溶けてしまう

異なる機能を持つ液を順番にコーティングして、多層膜(積層)を作る。これはディップコーティングの大きな強みですが、ここで多くの人がつまずく壁があります。 「2層目の液に浸けた瞬間に、せっかく綺麗に塗った1層目がドロドロに溶けてしまった」という失敗です。

これは、新しく浸けた液に含まれる溶媒(シンナーやアルコールなど)が、すでに塗ってある下地層の成分を侵食してしまうために起こります。この「共溶け(ともどけ)」を防ぐためには、2つの重要なアプローチがあります。

対策1:下地を「完全に」硬化させる

もっとも基本となるのは、1層目を完全に固めきることです。 手で触ってベタつかないからといって、中まで乾いているとは限りません。内部に少しでも未反応の成分や溶媒が残っていると、2層目の液に触れた途端に簡単に溶け出します。

自然乾燥だけでなく、オーブンを使ったしっかりとした熱処理(ベーキング)や、UV照射による架橋(分子同士を強く結びつけること)を行ってください。下地のバインダー(樹脂成分)が完全にネットワークを形成すれば、上に強い溶媒が来ても溶けにくくなります。

対策2:液に浸かっている時間を極限まで短くする

下地をしっかり固めても、液の中に長時間入れたままにすれば、やがては侵食されてしまいます。そこで重要になるのが、2層目を塗る際の「浸漬時間(液に浸かっている時間)」のコントロールです。

下地が溶け出す前に、サッと液に浸けて、素早く引き上げる。これが多層塗りの鉄則です。 つまり、ワークを下げる(浸漬する)スピードを速くし、液の中での待機時間をゼロにし、目標の膜厚になる引き上げ速度でスッと抜き取る必要があります。

精密な速度設定ができるSDIの装置

手作業でのディップでは、この「素早く下げて、決まった速度で引き上げる」という複雑な動きを正確に繰り返すことは不可能です。

SDIのディップコーターは、引き上げる速度だけでなく、「下げる速度(浸漬速度)」や「液中での待機時間」をミリ秒単位で個別にプログラム設定できます。これにより、下地へのダメージを最小限に抑えつつ、狙い通りの厚さの多層膜を安定して作ることができます。 積層コーティングの歩留まりにお悩みなら、SDIの制御技術が必ずお役に立ちます。

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