ディップコーティングの膜厚を予測したいとき、多くの技術者が「理論式(計算式)」を探します。 有名な「ランダウ・レビッチの式」などを使えば、ある程度の予測は可能ですが、実際の現場では「計算通りの膜厚にならない」という悩みが尽きません。 今回は、ディップコートの膜厚決定メカニズム(計算式)の基礎と、理論と現実のズレが生じる原因、そしてそれを補正して狙い通りの膜を作るコツについて解説します。
1. 膜厚を決める「計算式」の基礎
ディップコーティングの膜厚(h)は、主に「液の粘度(η)」と「引き上げ速度(v)」、そして「液の表面張力(γ)」によって決まります。 一般的に知られるランダウ・レビッチ(Landau-Levich)の式では、膜厚は**「引き上げ速度の2/3乗」に比例**するとされています。
簡単な法則
- 引き上げ速度を速くする → 膜は厚くなる。
- 引き上げ速度を遅くする → 膜は薄くなる。
- 粘度が高い → 膜は厚くなる。
2. なぜ計算通りにいかないのか?
しかし、実際には計算式通りにいかないケースが多々あります。その主な原因は以下の通りです。
- 溶媒の蒸発
引き上げている最中に溶媒が揮発し、粘度が刻々と変化してしまう(特に薄膜の場合)。 - 装置の振動
微細な振動が液面を揺らし、膜厚に局所的なムラ(誤差)を生じさせる。 - 液だれ
重力の影響で、引き上げ後に液が下へ移動してしまう。
3. 精密な膜厚制御を実現するには
計算式はあくまで「目安」です。最終的には実機での条件出し(パラメータ調整)が必要になります。 ここで重要になるのが**「速度制御の正確さ」**です。 計算上で「この速度ならこの膜厚になる」と分かっていても、装置がその速度を正確に維持できなければ意味がありません。
SDIのディップコーターは、1nm/sec(ナノメートル毎秒)単位での超低速制御が可能です。 振動を排除し、計算値に近い理想的な成膜条件を再現できるため、理論と実測のズレを最小限に抑えることができます。
まとめ
膜厚計算は工程設計の第一歩ですが、最後は「装置の性能」が品質を決めます。 「計算は合っているはずなのにうまくいかない」という場合は、ぜひSDIにご相談ください。 装置の販売・レンタルはもちろん、**「当社で代わりに条件出しを行う(受託コーティング)」**ことも可能です。
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