多孔質電極・セパレーターへの含浸コーティング|内部まで均一に浸透させるディップコート技術

次世代電池や燃料電池に用いられる多孔質電極やセパレーター。これらの内部にポリマーや触媒を染み込ませる「含浸(がんしん)コーティング」は、電池の性能を根本から左右する重要な工程です。しかし、スポンジのように微細な穴が空いた素材の奥深くまで、液を均一に浸透させることは容易ではありません。 本記事では、多孔質材料特有の「空力的な反発」のメカニズムと、内部の空気を追い出して確実に液を染み込ませるプロセス制御について詳述します。

1. 多孔質材料へのコーティングを阻む「空気の壁」

表面張力と内部に閉じ込められた気泡

無数の微細な細孔(穴)を持つ多孔質基材に液を塗ろうとすると、液が表面を滑るだけで中まで入っていかない現象が起きます。 原因は細孔の中にある「空気」です。液の表面張力が高いと、液は細孔の入り口で膜を張り、内部の空気を閉じ込めてしまいます。この空気がクッションのように反発するため、表面だけが濡れて内部はスカスカのまま、という失敗が頻発します。

2. 内部まで液を届かせる「真空引き」と「低速度」

空気を抜きながら毛細管現象を促す

細孔の奥まで液を浸透させるには、邪魔をしている空気を物理的に排除する必要があります。一つの有効な手段は、真空チャンバー内でディップコーティングを行う「真空含浸」です。 環境を真空状態にすることで細孔内の空気をあらかじめ抜き、その状態で液に浸すことで、液が毛細管現象によってスムーズに奥深くまで吸い込まれます。

3. 【解決策】引き上げ速度による「含浸量」の精密コントロール

超低速制御で内部の保持量を最適化する

液が内部まで浸透した後の「引き上げ工程」も品質を大きく左右します。引き上げ速度が速すぎると、基材の表面に余分な液が厚く残り、目的とする多孔質本来の通気性やイオン透過性を塞いでしまいます。

SDIのディップコーターが持つ極めて精密な超低速制御を用いれば、表面の余分な液を重力で自然に落とし(液切り)、細孔の内部にだけ必要な量の液を保持させることが可能です。電池素材の高度な含浸プロセスに課題をお持ちの場合は、当社の精密駆動技術が解決の糸口となります。

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