樹脂フィルムのたわみやすさは、特に大型化するディスプレイや精密機器の部材として使用される際に課題となります。
また、日常的な使用における傷や摩耗から保護するための表面強化も不可欠です。
これらの要求に応えるため、素材の選定から加工技術に至るまで、様々な工夫が凝らされています。
特に、高い耐熱性と剛性を持つ素材の組み合わせや、表面に特殊なコーティングを施す技術が、樹脂フィルムの性能を大きく向上させています。
樹脂フィルムのたわみ防止はどのように実現されるか
ポリカーボネート基材が変形を防ぐ
樹脂フィルムのたわみ防止には、基材となる樹脂の特性が大きく関わります。
例えば、ポリカーボネート樹脂は、アクリル樹脂などと比較して荷重たわみ温度が約130℃と高く、高温下でも変形しにくい特性を持っています。
この優れた耐熱変形特性により、ディスプレイパネルなどの部材が使用環境の温度変化によって湾曲したり、形状を維持できなくなったりすることを防ぐ役割を果たします。
これにより、製品の長期的な安定性と信頼性が確保されます。
基材と樹脂層で剛性を高める
たわみ防止性能をさらに高めるためには、基材となるポリカーボネート樹脂シートに、別の樹脂層を積層することが効果的です。
特に、アクリル系樹脂層を積層することで、シート全体の曲げ弾性率を高めることができます。
これにより、フィルムに撓みにくさが付与され、より強固な構造を実現します。
基材シートの両面にアクリル系樹脂層を積層すると、さらに高い剛性を得ることができ、温度や湿度の変化による反り発生のリスクも低減させることが可能です。
ディップコーティングで樹脂フィルム表面を強化するには
ハードコート層形成にディップコート法を用いる
樹脂フィルムの表面を傷や摩耗から保護し、耐久性を向上させるためには、ハードコート層の形成が重要です。
このハードコート層を形成する技術の一つとして、ディップコート法が挙げられます。
ディップコート法は、対象物をコーティング液に浸漬し、ゆっくりと引き上げることで均一な膜厚のコーティングを施す方法です。
この手法は、板状のものだけでなく、曲面や三次元形状など、複雑な形状の表面にも適用可能であり、効率的に表面強化を行えます。
表面硬度と耐擦傷性を向上させる
ハードコート層を形成することで、樹脂フィルムの表面硬度と耐擦傷性が大幅に向上します。
これにより、日常的な取り扱いや使用環境での細かい傷の発生を抑制し、フィルム表面の状態を良好に保つことができます。
さらに、ハードコート層の屈折率と、その下層にあるアクリル系樹脂層の屈折率を近接させることで、光の干渉による虹色の縞模様(干渉縞)の発生を抑制し、透明性を損なうことなく、視認性の高い表面を実現することが可能となります。
まとめ
樹脂フィルムのたわみ防止と表面強化は、基材の選定と積層構造、そして表面処理技術の組み合わせによって実現されます。
たわみ防止には、耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂を基材とし、アクリル系樹脂層との積層によって剛性を高めることが有効です。
一方、表面強化においては、ディップコーティングなどの手法を用いてハードコート層を形成し、表面硬度と耐擦傷性を向上させます。
また、ハードコート層と下層樹脂の屈折率を調整することで、視認性を損なう干渉縞の発生も抑制できます。
これらの技術により、樹脂フィルムは高機能な素材として様々な用途に応用されています。
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