洗浄乾燥をインラインに一体化する設計の進め方とは?

製造業における生産性向上は、常に課題であり、競争優位性を築く鍵となります。

その実現に向けて、近年注目されているのがインライン洗浄乾燥一体化設計です。

工程の効率化、コスト削減、環境負荷の低減など、多くのメリットが期待できる一方、導入には慎重な検討が必要です。

そこで今回は、インライン洗浄乾燥一体化設計の導入効果と選定ポイントについて解説します。

インライン洗浄乾燥一体化設計の導入効果

生産性向上への貢献

インライン洗浄乾燥一体化設計は、洗浄と乾燥工程を一つのラインに統合することで、作業時間を大幅に短縮できます。

旭化成の事例では、フレキソ製版工程を12工程から1工程に削減、作業時間を90%削減したという報告があります。

これにより、生産スループットの向上、リードタイムの短縮、生産量の増加につながります。

また、洗浄乾燥工程の自動化により、人為的なミスを減らし、製品品質の安定化にも貢献します。

コスト削減効果

工程の削減による人件費の低減、材料費の削減、エネルギー消費量の削減など、コスト削減効果は多岐に渡ります。

旭化成の事例では、インキ使用量を20%削減、総所有コストを大幅に削減したと報告されています。

さらに、廃水処理コストの削減にも繋がります。

旭化成のAWP-LOOP™システムは、廃水を約3リットルにまで削減し、約70%の水を再利用可能にすることで、水資源の節約とコスト削減に貢献しています。

省人化によるメリット

工程の自動化と統合により、省人化を実現できます。

人手不足が深刻化する現代において、省人化は生産性を維持・向上させる上で極めて重要です。

解放された人員は、より付加価値の高い業務に充てることが可能です。

環境負荷低減への取り組み

水資源の節約、廃棄物の削減、エネルギー消費量の削減など、環境負荷低減に大きく貢献します。

旭化成の事例にあるように、水現像製版システムは、環境に配慮した製版を実現し、Solvent ZERO 製版環境に貢献しています。

インライン洗浄乾燥一体化設計の選定ポイント

洗浄乾燥性能の確認

洗浄乾燥性能は、製品品質に直結するため、最も重要な選定ポイントです。

洗浄対象物の材質、汚れの種類、許容残留量などを考慮し、適切な洗浄乾燥性能を持つ設備を選択する必要があります。

具体的な洗浄方法、乾燥方法、洗浄時間、乾燥時間などを確認しましょう。

設備の導入コスト

導入コストには、設備本体価格、据付費用、周辺機器費用などが含まれます。

導入コストと将来的なランニングコストを検討し、トータルコストで最適な設備を選択することが重要です。

メンテナンスの容易性

設備のメンテナンス性は、生産ラインの稼働率に大きく影響します。

メンテナンスの頻度、時間、コストなどを考慮し、メンテナンスが容易な設備を選ぶことが重要です。

部品の入手性や交換の容易さも確認しましょう。

将来的な拡張性

生産量の増加や製品の変更などに備え、将来的な拡張性を考慮する必要があります。

拡張性が高い設備であれば、将来的な投資リスクを低減できます。

導入後のサポート体制

導入後のサポート体制が充実しているかどうかも重要なポイントです。

保守サービス、技術サポート、部品供給体制などを確認し、万が一のトラブルにも迅速に対応できる体制が整っているかを確認しましょう。

まとめ

インライン洗浄乾燥一体化設計は、生産性向上、コスト削減、省人化、環境負荷低減といった多くのメリットをもたらします。

しかし、導入効果を最大限に発揮するためには、洗浄乾燥性能、導入コスト、メンテナンス性、拡張性、導入後のサポート体制などを総合的に考慮し、自社のニーズに最適な設備を選定することが不可欠です。

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ご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。